就活

就職活動=就活は世間一般に大変苦労なものですが、留学生も例外ではありません。

ある年、K君が「アオヤナギさん、面接の練習お願いします。」とやって来ました。彼が事務所の
ドアをノックします。「どうぞ」と私が応え、面接練習が始まりました。

私が就職する時は一度の面接で済みました。そんなに苦労する時代ではなかったのです。
しかし結婚して、夫の会社を手伝っていたときに、社員なりアルバイトに応募してきた人を面接してきたことが役に立ちました。

それにしてもK君はいくつかの会社を受験して、全部落ちました。たぶん、年齢が34歳になっていたことが大きく響いたのでしょう。
3月末にはエルセレーノを退去しなければなりません。彼は「もう少し日本にいたいので、教会の神父さんのところへ行きます。」と言いました。

そして私に「これ、もらって下さい」と花瓶を二つ差し出しました。一つは普通のものでしたが、もう一つは高さ30センチ位の、真紅のお洒落なガラスの花瓶でした。自分の部屋にお花を飾っていたのです。優しい人だとは知っていたけれど、彼の内面の豊かさをも感じました。

4月か5月ごろ、K君は突然エルセレーノの窓口にやって来ました。満面の笑みを浮かべて、
「アオヤナギさん、決まりました!」と言うのです。すっかり諦めていた私でしたが、「エーッ、
どこっ?!」と訊きました。彼のお国の出先機関でした。神父さんの紹介で決まったのです。

お国の偉い方が来られると、関西空港までお迎えに行き帰国されるまでの間、スケジュールの空いた時間に大阪・京都・奈良などにご案内して、また関空までお送りするんです、と言うのです。
K君の、真面目で優しい性格と日本の観光地について勉強してきたことが、まさしく生かされるお仕事です。

ずっと教会に通っていて、神父さんも彼の人柄を見込んで紹介されたのでしょう。私にとっても本当に嬉しい彼の就職でした。その後しばらくして、K君は結婚し女の子が生まれました。家庭でもいい夫であり、いいお父さんでしょう。

コメント

  1. K君のお幸せを心から願っています。
    祖国を離れて、頑張っておられる人たちに優しい心で接しられて、素敵なお仕事ですね。
    暑い毎日ですが、体調を崩されませんように。

    皆さんが頼りにされていますよ。

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  2. 嬉しいエールをありがとうございます。とても励みになりました(^o^)。

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