松柏美術館

               上村松篁 「万葉の春」



新聞に紹介記事を見つけて早速、奈良の松柏美術館へ行って来ました。
今回は「松篁、松園を語る 松園、松篁を語る展」と言うタイトルの美術展でした。   その展覧会は、親子で日本画家として活躍した上村松園さんと松篁さんがお互いについて語った言葉を紹介しながら、下絵や素描を含む約80点を展示したものでした。

私の印象に残ったのは、一緒に暮らす中でお互いに夜遅くまで絵筆をとって励んでいる日々のこと。ある夜、松園さんが(今夜はこれで筆をおこう。松篁の様子はどうかな)と息子さんのお部屋の傍まで行った時に、灯りが点いているのを見て、また自室へ戻って、置いた筆を再び執られた、と言うくだりでした。

今回の展覧会は松園さんの下絵が圧倒的に多くて23点、絹本彩色4点。松篁さんの絹本彩色は4点、紙本彩色は1点でした。お二人の小下絵や写生・素描も多く出展されていました。 下絵と言うものの、それらは筆のひと刷きの真剣さを窺わせ圧倒されました。 

それに松篁さんの長男、上村淳史さんの紙本彩色5点が展示されていました。淳史さんも今年90歳だとか…次代はどうなさるのか気になる処ではあります。今回はおばあ様とお父様がメインなので淳史さんの出品数はわずかです。しかし、淳史さんは画業もご立派ですが、その上に芸術における教育者としても、ご自分の絵の対象ともしている鳥類保護にも力を尽くしてらっしゃいます。

近代美人画の上村松園、日本画家上村松篁、そしてやはり日本画家の上村淳史、久々に目の保養をして嬉しい日曜日でした。今回の展示は6月25日迄です。


松柏美術館入り口付近
敷地の中にお茶席があり、そこからの眺め
この美術館は近鉄の創業者のお屋敷跡の一部と聞きました
               左が「鼓の音」 右は「娘」

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