アルバイトの事故

留学生たちの中には親元からの仕送りに頼っている人もいますが、多くが自分で学資や生活費をアルバイトで賄っています。いつまでも親からの仕送りに頼るのは恥ずかしい,と云う子もいて感心します。

他国で生活しながら勉強する、というのは経験のないものにとっては非常に大変なことに思えてそれだけに「これからバイト行ってきます!」と出かける時には、「行ってらっしゃい!気を付けてね。」と、自然と口に出てくるのです。

もう大分前になりますが、元気に出て行った女の子が、右手を白い包帯でぐるぐる巻きにして帰ってきました。びっくりして「どうしたのっ!」と訊くと、バイト先の中華料理店で油の煮えたぎる中へ一瞬手を入れてしまった、というのです。

夕方でした。もう6時半を過ぎていたでしょうか。電話をかけて一番近くの総合病院で手当をしてもらえることを確かめました。「大丈夫。自分で自転車に乗れます。」と気丈に言うのでそれぞれの自転車で出かけました。待合室で30分位待っていると、きれいに巻き直した包帯の手を肩から吊るして処置室から出てきました。

看護師さんが付き添っていた私に説明して下さいました。「大丈夫です。しばらくは手当に通ってもらいますが、傷は残らないはずです。」とのことでした。その時の安堵感といったら・・・

彼女の話では、事故の直後、店長さんが調理用のボールに氷を沢山浮かべた水を用意し、「この中に手をつけろ」と言われたそうです。余りの冷たさに手をあげようとすると、頭ごなしに叱られて20分はきっちりつけさせられた、そうでした。それが功を奏して、その後彼女の右手は何事も無かったかのように、若い娘さんのきれいな手に戻ったのでした。忘れられない事故の思い出です。

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