瀬戸内寂聴さん

               在りし日の寂聴さん


11月9日に瀬戸内寂聴さんが亡くなりました。90歳を超えて骨折やガンを克服されて、亡くなることなんか無いような気がしていたので一瞬とても驚きましたが、よくよく考えればいつその時が来てもおかしくなかったのだと思い至りました。

瀬戸内晴美さんと言う作家の名を私が知ったのは、マスコミでその奔放な私生活が時に批判的に取り上げられるようになった頃でした。子供を婚家先に残したまま別の男性を追って家を出て行くという小説もどきのことをやってのけている作家、と言うイメージでした。華やかな作家の突然の得度式の様子は世間をあっと言わせました。

失礼ながら、そのハチャメチャ或いは一か八かのように見える自由な生き方は、真面目な若い女性としての私には受け容れにくいように思われました。そして、仏道に入られて後は静かに世の中と距離を置いて過ごされるものと思い込んでいました。。。


大分前、「寂聴さんの法話が聴きたい」と言う友人と京都へ行きました。寂庵ではなくどこかの会館でした。法話の後の人生相談に手を挙げた隣席の女性が、「年下の夫が頼りなくて尊敬できない。悩んでいます。どうすればいいんでしょうか?」と問いかけました。

寂聴さんの答えは明快でした。「あなたがその人を選んで一緒になったんだから、手を携えて成長し、添い遂げなさい」と言うきっぱりとした言葉でした。


「人間は愛に始まり、愛に終わる。でも、人間は生まれながらにして孤独なのです」そう言って全国各地で語り続けた寂聴さん。99歳の誕生日には「長すぎた一生だと思います。全てに今は悔いがありません。十分に生きた我が一生でした」とコメントしています。      思うままの人生を生き切った寂聴さん、今ごろは天上の大先輩方と再会してらっしゃいますか?  合掌…


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