京都の奥座敷…花背
美山荘の看板の前の石には「峰定寺参道」と刻まれています
この奥に峰定寺の閉じられた門がありました
車を購入した後「京都へ行こうね。何処がいい?」と息子に訊かれ「花背❣」と答えていた私でした。地図を見て「こんな山の中、何も無いよ。」とシティ・ボーイが若干の不満を漏らしながらも、ようやく実現することになった文化の日の京都北山・花背行・・・
京都市内に入る手前から「街を眺めながら行こう」ということで高速道路を途中で下り、一般道を北へ北へと走ることにしました。九条の東寺、七条西本願寺、二条城などを運転しつつ目をやり「京都だねぇ」と息子は鴨川に沿う京都らしい景色をとても楽しんでいました。私も京都に来ること自体三年振りなので、街の落ち着いた風情を見、少し開けた窓から入る京都の風を額に柔らかく感じて懐かしい気分を味わっていました。
市街地を離れ、ひた走るうちにふと外を眺めると鞍馬寺の門前の売店が目に入りました。 3時過ぎで陽が傾いてきているので暗くて見えませんが、天狗のお面や名物木の芽煮きなどを売っているお店です。その鞍馬寺の門前を右に曲がると、鞍馬街道に沿って古い格子窓の家が続きその向こうに北山杉が夕日に映えています。
車は天に向かって真っすぐに屹立する北山杉に両側から挟まれるように急な坂道の、決して広くない山道のヘアピンカーブを進んで行きます。
所々で道は本当に狭く、童謡を流しながら走って来た地域のバスと遭遇した時はバスのドライバーとアイコンタクトを取りながら、息子は自分の車をバックさせていました。そしてドライバーの開いた掌の合図で後進を止めました。運転席側のバックミラーは既に畳んでいます。そして助手席側のタイヤは切り立つ崖に食い込んでいます。我々の車とそのバスの隙間は数センチしか無かったかもしれません。
ギリギリにすれ違って通るバスを目の高さで、私は祈る思いで凝視していました。 息子の胆力と8か月ほどの運転経験を信じながら~~ 「僕は彼を信じたよ。彼はプロだから…」と、通り過ぎた後で言っていました。花丸でしたねぇ…二人とも。。。
そうこうする内にもう4時に近づいていて、「山は暗くなるのが早い」ので気になりながら「せっかくだから美山荘を見に行きたい」と言いました。「いいよ」と気にする様子もなく「5㌔位だよ」とさらに奥へ車を進めて行きました。
峰定寺の参道の両側に美山荘の建物があり、丁度仕事用の着物姿で女の人が外へ出ていて、先に歩いていた息子が話し掛けていました。私も近づいて挨拶を交わし予約状況を訊いてみると、「今年中はもう一杯ですねぇ」とのこと。「来年はぽつぽつと空いている日もありますけど~~」と、想像通りの状況でした。このような鄙びた里の料理旅館といえども、昔から摘み草料理で有名でした。
とても感じのいい女性で息子に「多分、ここの奥さんだと思う…テレビで見たのもあの女性だったと思うし、使用人のイメージではないわね、いい感じの威厳もあったし…」と言ったのでした。お話しできたのは幸運でした。
まだ西の空の山際がオレンジ色に染まっていましたが、暗くなる前に山を下りよう、と出発しました。
ン十年振りに訪ねた花背は何も変わっていませんでした。(カフェは何軒も出来ているに違いない)と思っていましたが一軒も見当たらず、美山荘の近くの家から出て来た男性に訊いても「ないねえ」と言われるばかり・・・何だか嬉しくなりました。。。
コメント
コメントを投稿