幻の女性

                     てっきり若い男性が使っているものと思っていた自転車


最近ホテルの駐輪場で素敵な女性と出会い、また会いたいものだといつも期待しながらプールまで自転車で通っています。


先日、夕方からのスイミングが終って9時前頃、帰ろうとして駐輪場へ着きロックを外していると、隣に駐輪していたカッコイイ今時のマウンテンバイク(と今でもいうのでしょうか)の持ち主が傍に来ました。意外や意外、女性なのでした。

私は思わず「女の人だったのね!てっきり男性のものだと思ってたわ」と言いました。すると「女です!」との返事。顔を挙げると彼女もロックやチェーンを外していて、折からの強風に肩より少し長めのたっぷりの黒髪をなびかせています。

「風が出て来たので気を付けてお帰り下さい」と言いながら、サッと男跨ぎでバイク上の人となり、ビュンッと飛び出しました。「ありがとう、あなたもね!」と後ろ姿に声を掛けるのがせいぜいの、数分の出来事でした。


こんなにあっさりした爽やかな女性がいるんだな…と顔も合わせていない人のことが深く心に残り、また会いたいものとずっと思っていました。

それから一週間ほどの間、そのバイクが止められているのも見なかったのですが、昨夜帰ろうと駐輪場に向かった時にその白いバイクが目に入りました。

ホテルで何をしている女性なのか。ジムなどへ趣味で来ているのか、仕事をしているのか、全く分かりません。ほんの二言三言の言葉を交わしただけ乍ら、風が出て来たという気象条件の変化に気付き、ごく自然に年長者を気遣う優しさを備えた若者の全体像に再会したいなと願う私です。

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