鍵を失くして
明かりのついた部屋のベランダに出て来ました |
「隣室の人の携帯番号教えて下さい」と言いますが、台湾から来たばかりの日本語学校の女子生徒で、もうスマホを購入したかもしれませんが、電話番号の届は出されていませんでした。
隣室のベランダから仕切り板を乗り越えて自室に入る目論見でしたが、彼女は隣室の女子生徒を待ちながら友人の部屋に泊まらせて貰ったようでした。
次の日の夕方、また窓口に来たので「お隣が何時に帰るか分からないし、鍵屋さんに来てもらったら?」とアドバイスすると、「昨晩電話したら2万円って言われました」とのこと。
国際交流センターに電話してみることにしました。マスターキーが保管されているので、ひょっとしたら南森町駅を乗換駅にしておられる方が持って来て下さるかしら?と思ったのでした。
でも、甘かったです。「自己責任だよ。2万円掛かろうが鍵屋さんに来てもらうべきだよ」と言われました。正しくそうではあります。彼女は申し込み、22時以降に来てもらうことになりました。
体を二つ折りにし顔を建物側に向けて 真っ暗な右の部屋に移ろうとしています |
一説では、夜10時以降は深夜料金5千円が加算されるので10時以降にしか来ないらしいのです。
そうこうする内、8時が過ぎ隣室の女子生徒が帰って来ました。鍵を失くした子に「帰って来たわよ」と連絡を入れます。「そうですか!」と弾んだ声が返って来ました。さあ、待機していた同じ大学の男の子の出番です。自分で仕切り板を登るのかと思いきや、ちゃっかりと男子に頼んでいるのを知って「あなたに命を捧げる人なの?!」と思わず言った私でした。
外へ出て、7階の彼らの様子を見計らいながら、道路を隔てた向かいの会社のエントランスからスマホを構え、動画を撮る用意をしました。(この動画を証拠品として警察に提出することがありませんように)と祈りながら。動画を撮り出してすぐ男の子が仕切り板に取り掛かりました。ハラハラします。彼も建物の方を向いていて、反対側を決して見なかったのは良い判断だと思いました。怯んだら危ないです。素早く向こうのベランダに着地し、程なく暗かった部屋に照明が灯りました。
すぐ7階に上がって部屋まで行き、ノックして開いたドアの向こうに彼が居たので「よくやった!!」と、肩を叩いた私でした。スマホに納めた動画を見せると「これ下さい」と言うので、ライン登録をして送りました。この映像がひょっとして将来、物事がうまく行かない時の彼を支えるかも知れない、なんて思った私でした~~。
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