挨拶のことば
ボクちゃん、重そうやね… |
今週ピックアップされていたのは、「転職した職場の雰囲気が暗くて…」とぼやく人の話でした。暗い理由の一つは、職場に朝の挨拶の言葉がない、「お早うございます」と声を掛けてもこちらに顔も向けず「ん」とうなずくだけの人が多く、もう挨拶をするのをやめようかな、と思っていると云います。
今朝、そのエッセイを読んでいて私は「そうそう、そんな人いるわ~~!」と身の回りに起こった二つの出来事を思い出しました。7,8年前、今の書道教室で習いだした時、初めてのお稽古日に「ここに座ったら?…」と言う声に誘われてその人の後ろの席に座ったのでした。お稽古の日にその席に座る前に、前の席のお二人に「こんにちは~」というのが私の常でしたが、その度に不思議なことに「こんにちは」と云う返事が帰って来なかったのです。何年たっても同じでした。時々気が向くと前の人たちは悪びれもせず話しかけてくるので、私は(挨拶をする習慣のない人たちなのかな)と思っていました。他の人たちも同じ経験がある、と言うことでした。
早春、道端や野辺に咲くいぬふぐり |
もう一つの出来事は留学生との間で起きました。私は外から帰って来る学生には「おかえり」と言って迎えるのですが、日本語に習熟している学生は「ただいま」と返してくれます。あるいは「こんにちは」「こんばんは」だったりします。ある日、日本語学校の生徒が帰って来たので例によって「おかえり」と云いました。すると戸惑った感じで黙っているので『日本では帰った時には「ただいま」っていうのよ』などと教えたのでした。
すると翌日長い長い手紙が事務所の窓にくっつけてありました。「あいさつに何か意味がありますか?私は無いと思います。日本人の友達にも聞いてみましたが、無駄なことだと言っていました」と云うようなことを書いているのでした。中国の内モンゴルから来ている女の子ですが、日本語学校へ通い始めて6カ月程しかならないのに、この長い手紙を書いたということにまずびっくりさせられました。内容にも驚いたのですが、何とか返事を書いて2日後位に彼女の郵便受けに入れました。
らっぱ水仙をどうぞ… |
挨拶の言葉は単に言葉と言うに留まらない、と私は考えています。相手の人に、言葉と一緒にふんわりとした温かいハート形のボールをそろりと投げるということじゃないのかな、と思います。
山茶花の ほろほろ落ちる 昼下がり さちこ
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